薫る言葉

本や映画のことなど、思ったことを言葉で表せるように

言葉の海で泳ぐ

ふと気がつくと、自分は大体の時間を言葉と共に過ごしている。

そんなこと当たり前じゃないか、みんな言葉に囲まれて生きているんだ。と言われてしまえば確かにその通りなのだけれど、自分はかなり意識的に言葉に触れていると思う。

もちろん、言葉に意識的に触れていることが特別なことだとも思わないし、別段偉いことだとも思わない。それは本を読むことや何かを書くことが特別でも偉くもないことと同じだ。

 

ならばなぜ自分は暇があれば本を読み、何かを書き、翻訳などにも手を出してしまっているのか。それはおそらく、言葉を紡いでいないと自分がおかしくなってしまいそうになるからではないか。本を読むことで静かに思考の整理をしたり、文章を書くことで凝り固まった頭をほぐしているのではないか。一種の精神安定剤だ。言葉にはそういう力がある。

 

自分自身から引き剥がして考えてみる。

なぜ人々は本を読むのだろう。物語を楽しむため、教養や知識をつけるため、理由は様々にあるだろうけど、どこかしらに麻薬のようにじんわりと効いてくる読書の得体の知れない力を感じているからではないだろうか。文章を書くこともある種の瞑想のように体や脳に浸透していって、見たこともない景色を見せてくれるからではないか。

言葉は生き物であり、麻薬であると思う。だからこそ人の神経を落ち着かせもするし、刃物のように傷つけたりもする。全ては扱いかた次第なのだ。

 

言葉は海のようだ。少なくとも自分はそう思う。