薫る言葉

本や映画のことなど、思ったことを言葉で表せるように

春は忘れてる

寒い日が続いている。

季節的にはもう春だというのに、ゆっくりと花見をするにはまだ寒い。

春は自分の出番を忘れてしまったのだろうか。

おそらく、冬がまだ元気にやっているだろうと思って自分の出番を忘れて呑気にどこかで日向ぼっこでもしているに違いない。

一通り寒くなって、もう限界だと人々が言い出して、冬自身ももう頑張りの限界だという時に、焦ったように春はやってくるのだと思う。急に出てきてしまったので温度の具合もわからず、少し暖かくしすぎてしまうに違いない。徐々に春の春としての役割を思い出していくだろう。

 

毎年のように季節を感じると思うことだけれど、ある季節の中にいると別の季節のことを忘れてしまう。冬の寒さを実感していると、夏の暑さなんて幻想だったんじゃないかと思えてくる。早く暖かくなって欲しいけれど、Tシャツ短パンで外に出ていた頃のことなんて想像がつかない。どこか遠い見知らぬ国での出来事のように感じる。

同じように夏には冬の寒さなんて想像もできず、その寒さを欲していたりする。人間は無い物ねだりをしがちだけれど、無いもののことを具体的に想像できてないことが結構あったりする。

 

無いものを必死に掴み取ることもできるけれど、こと季節に関しては、ぼんやりと勝手に暖かな春の妄想をしながら、布団にくるまることしかできない。春よこい。